電子ピアノのデメリットは？アップライトピアノとの違い

「ピアノを弾いてみたい」と思ったものの、自宅には限られたスペースしかないという方も多いのではないでしょうか。そんな環境でも楽しめるピアノとして「電子ピアノ」と「アップライトピアノ」が挙げられます。両者は同じように思われがちですが、実は多くの違いがあります。そこで今回は、電子ピアノとアップライトピアノの違いを解説していきます。ピアノ選びに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

電子ピアノとアップライトピアノにはどんな違いがある？

電子ピアノとアップライトピアノはデザインが似ているので、どちらを購入すべきか悩む方もいるでしょう。サイズ感も同じくらいですが、内部の構造は全く違います。

アップライトピアノはグランドピアノと同様にアコースティックピアノと総称されます。鍵盤を弾く力がアクションに伝わり、ハンマーが弦をたたくことで響きを生み出します。一方で、電子ピアノはアコースティックピアノの音源が収録されています。

また、内部の構造以外にもさまざまな違いがあります。電子ピアノとアップライトピアノの違いについて、下記でくわしく解説します。

音が出る仕組みの違い

前述した通り、電子ピアノとアップライトピアノは音が出る仕組みに違いがあります。

電子ピアノ

電子ピアノには、アコースティックピアノにあるようなハンマーや弦は存在しません。鍵盤を弾くとセンサーが鍵盤のタッチを感知し、音が出る仕組みとなっています。

では、どのように音が出ているのかというと、内部にアコースティックピアノの音が収録されています。たたいた鍵盤に応じてスピーカーから音を出しています。

そのため、電子ピアノはメーカーによって微妙に音色が異なります。高級モデルになるほどまるで生ピアノのような繊細な音を表現できます。

アップライトピアノ

アップライトピアノは、内部にアクションと呼ばれる内部機構と減の振動を増幅させるスピーカーの役割を担う響板が搭載されています。鍵盤を弾くとアクションに伝わり、ハンマーが弦をたたきます。

そして、響板が弦の振動を増幅させ、響きを生み出します。弾いている音以外の弦も共鳴するので、演奏者の表現力を最大限に引き出すことができます。

音色の違い

電子ピアノとアップライトピアノの音色の違いを解説します。

電子ピアノ

電子ピアノにはアコースティックピアノから録音された音が収録されているので、音源によって音色が異なります。メーカーやスペックによって違いがあるので、気になる方はまず試しに弾いてみることをおすすめします。

なお、電子ピアノの音源には、あらかじめ録音された音を再生する「サンプリング音源」とリアルタイムで音を作り出す「モデリング音源」の2種類があります。サンプリング音源の場合は生ピアノの音が一音ずつ録音されています。一方、モデリング音源は、サンプリング音源をさらに調整・加工してあるので、価格も高い傾向にあります。

また、電子ピアノにはピアノの音色だけでなく、オルガンやギターなどの音色も収録されています。1台でさまざまな音が楽しめます。

アップライトピアノ

アップライトピアノは、弦をたたいた振動によって音が出ます。そのため、強弱をつけることで音色が変化します。

弾いている音だけでなく、ピアノ全体が共鳴するので、表現のある演奏が可能となります。また、手首や腕の使い方によっても音色が変化します。たとえば「長短異なるスタッカート」や「和音のバランスを手指でコントロール」といったクラシック演奏のテクニックを練習することができます。

価格の違い

電子ピアノとアップライトピアノは価格に大きな違いがあります。

電子ピアノ

電子ピアノの価格は、スペックによって大きく異なります。最もスタンダードなモデルである88鍵盤の価格帯ごとの特徴を紹介します。

88鍵盤の電子ピアノの中で最安値の目安が5万円です。本体とスタンドが別になっている者が多く、持ち運びにも便利なサイズです。

据え置き型の場合は、10万円台が最安値です。ペダルが3つ揃っているものがほとんどです。

生ピアノの感覚を身につけたい方には、15万円～がおすすめです。予算が20万円ほどであれば、より生ピアノに近いリアルな感覚で弾くことができます。

さらに、30万円以上のものは、どのメーカーでも最高級グレードに位置しています。弾き心地もアップライトピアノとほとんど変わりません。

なお、電子ピアノを中古で購入する場合には、より手頃な価格で手に入れることができます。新品で20万円前後のモデルであっても、中古だと10万円以下で売り出されていることがほとんどです。シンプルなスペックのものであれば、1万円台で購入できることもあります。

アップライトピアノ

アップライトピアノは、安くても40万円～が相場となっています。高級なものだと、数百万円を超えるものもあります。

なお、中古で購入する場合には、お得に手に入れることができます。たとえば、20年前のモデルであれば、10～20万円ほどで手に入れることができます。ただし、中古のアップライトピアノはメンテナンスの仕方によって状態が異なります。

購入する際には「定期的に調律されていたか」「弦がさび付いていないか」「ハンマーヘッドがすり減っていないか」「響板にひび割れがないか」などのポイントを確認するようにしましょう。信頼できる楽器店でクリーニング状態を確認できれば安心して購入できるでしょう。

電子ピアノのメリット・デメリット

電子ピアノのメリットとデメリットを紹介します。

電子ピアノのメリット

電子ピアノは、コンパクトなので限られたスペースにも設置しやすい点が魅力的です。ヘッドフォンを使うことで周囲や時間を気にせずたっぷり練習できるので、集合住宅に住んでいる方でも安心です。楽器設置が不可とされているアパートやマンションであっても、電子ピアノなら許可が下りる可能性があります。

また、調律の必要がないので、メンテナンスのしやすさもメリットと言えるでしょう。

電子ピアノのデメリット

電子ピアノは手軽さが魅力的である一方で、本物の音色を味わうことはできません。また、鍵盤のタッチも軽いので、本格的な練習には向いていません。

寿命が短いので長期間使うことは難しいですが、手頃な価格で手に入れられるので気軽にピアノを始めてみたいという方におすすめです。

アップライトピアノのメリット・デメリット

アップライトピアノのメリットとデメリットを紹介します。

アップライトピアノのメリット

アップライトピアノは、電子ピアノと違って本物の音色を楽しむことができます。鍵盤も重みがあるので、本格的な技術を習得したいと思っている方におすすめです。

また、価値が下がりにくい点もメリットと言えるでしょう。定期的なメンテナンスを行うことで、一生涯楽しむことができます。

アップライトピアノのデメリット

アップライトピアノは音が響く点が弱点です。設置する環境によっては、気軽に弾けない可能性があります。

また、購入価格の高さもネックです。定期的な調律が必要ですが、本格的にピアノの練習がしたい方には、アップライトピアノがおすすめです。

まとめ

今回は、電子ピアノとアップライトピアノの違いを紹介しました。それぞれサイズ感やデザインに共通点がありますが、内部の構造は大きく異なります。アップライトピアノはアコースティックピアノと同様の構造であるのに対し、電子ピアノはアコースティックピアノの音色が収録されています。気軽に弾いてみたい方には電子ピアノ、本格的に技術を身につけたい方にはアップライトピアノがおすすめです。なお、価格帯は電子ピアノの場合5万円～30万円、アップライトピアノは40万円～数百万円が目安となっています。手頃に手に入れたいのであれば中古で購入する方法もあります。予算と目的に応じて選ぶと良いでしょう。本記事が参考になれば幸いです。